2012年11月4日日曜日

松代の六文銭

久しぶりに自転車を走らせた。
月末の多忙な日々で疲弊した頭脳をリフレッシュだ。
文化の日は様々なイベントが行われたようだが、

真田邸二階開放。
先着200名様限り。

松代へ。


11月ともなれば陽射しも弱まり、
増して本日は北風ビュービュー。
千曲川河畔の道路は幸い追い風となってスイスイと進む。
明日の南長野は無風であればよいが...




真田邸前の公園では菊の展示が。
年配の職人が熱心に菊人形の養生をしている。
真田一族の菊人形がスケキヨっぽかった。(注:犬神家の一族)
それにしても...


小松殿(真田信之の嫁)の名札に『熟女』!?
この職人さん、よほど熟女の文字を書きたかったのか?
しかしよく見ると熱女を書いてあるようにも...

真田邸は見物客で賑わっている。
文化の日で入場料が無料だ。
なんと!!?
目当ての二階見学は定員に達したとのことで整理券入手できず!

しょーがないな。
とりあえず一階を見て回るか。


ここは『新御殿跡』と呼ばれる。
1864年の建設というから150年前。
ここ松代を最初に統治した真田信之。
かの真田幸村のアニキだ。


弟は大阪の夏の陣で華々しく散ってしまったわけだが、
アニキは真田の家を後まで残すことを死ぬまで考え続け、
当時は荒れ野原の松代を領民のために発展させた偉人なのだ。


上田の海野町に池波正太郎館が建てられているが、
池波先生は真田信之という人物にいたく魅了され、
何度も松代を訪れていたらしい。
池波作品には真田信之を主人公にした名作も数多い。

錯乱(直木賞)
獅子の眠り
碁盤の首


名作『錯乱』は真田信之が永遠の眠りにつく直前の物語。
自分の後取り息子が早死にし、
さらには領主である孫までが急死。
4歳のひ孫を新たな領主に据えたい信之だが、
江戸幕府の息が掛かった不肖の次男が乗っ取りを画策、
松代藩を舞台に江戸時代版スパイ小説と言ってよいほどスリルに満ちた驚愕の展開。

そしてこのたび晴れて菊人形にもなった恩田民親。
信之死後の窮乏に苦しむ松代藩を
若くして家老となり、執政で立て直した忠臣。
藩士への給金すら払えない貧乏藩。
たびたび氾濫する千曲川で不作に苦しむ領民。
百姓一揆寸前の荒れた治世。
反乱でも起きようものなら断絶を虎視眈々と狙う徳川幕府。
決してやり手ではない恩田民親は誠心誠意で必死に藩の財政を立て直す。

そんな小説の世界を思いながら感慨深く松代を巡る。

明治の世では佐久間象山という天才を生み、
昭和の時代に栗林忠道という稀代の戦略家を輩出。
硫黄島の戦いこそ、少数精鋭の真田戦法を思い起こさせる。


夕暮れ時となって帰路に着くと、
街中に大きな塔が目に入る。


鐘楼復元が完成したらしい。
ここには4~5名の長野市役所の方々が
案内役を買っていて丁寧に鐘楼の復元を説明してくれる。
松代町内全般に言えることなのだが、
至る所で市役所とボランティアの皆さんが丁寧に案内してくれる。
松代は観光を重視していることがヒシヒシ伝わってくる。
長野市にもこんなホスピタリティな場所があるんだな。

みんな街をよくしようと一生懸命だ。
小布施の賑わいや松本の城下町もいい。
けど、松代の身近な和やかさが好きだな。

眠れる獅子、真田信之の想いが息づいてる。
やっぱりね、
獅子繋がりでAC長野のサポーター集団作ったほうがよい。
六文銭旗を南長野にはためかせて。



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